「獣の奏者 外伝 刹那」読書中・・・
今朝の電車の中から読み始めたので、まだほとんど。
- イアル
- もうひとりの主人公。堅き楯を辞した後エリンの夫になる。「そうか、と思った。/そうか、おれは死んでいたのだ。」(p.66)。エリンとはお互いに結ばれてはいけないと考えつつどうすることもできなかった。そして互いに食い込んでしまった互いの存在に慄然とする。
- エサル
- カザルム学舎のトップを長く続けている女性。エリンの学問の師であり、親代わりでもある。厳しくも優しい。この巻後半の作品「秘め事」では主人公。
- エリン
- 全編の主人公。「ああいう生い立ちの子だから、あとのことより、いつも、そのとき、そのときが大切に思えるんでしょうね」(byエサルp.74)。多くのものを失いすぎて、「今」を失ったら二度と手に入らないかもしれないという意識がどこかにあるのだろう。そして明晰でありすぎることが彼女自身を苦しめる。
- カザルム
- エサルが初めて来た頃は王獣の終末期医療の場だった。予算は少なかったが指導者たちはおだやかで、王獣に安らかな余生を送らせようと努力していた。
- キィノ
- イアルの妹。ミカルマ=サッカラ木材店の大番頭に嫁いだ。兄のことは名前くらいしか覚えていない。
- 孤独
- エリンとイアルの夫婦はどちらも存在自体が悲しい。孤独な存在が出会って孤独ではなくなる。そのへんはデイヴィッド・アーモンドの作品に似ているが、こちらの二人は孤独でなくなり幸せになっても常に不安を抱き続ける。あまりにも切実に互いを必要としすぎているかもしれない。いつかかたわれを失いふたたび孤独になるのではないかという不安。そしてそれはおそらく杞憂ではなくたしかにいつでも起こりえるものなのだ。
- タムユアン
- 学問の府。エサルがジョウンやユアンと出会った。
- 内容
- 登場人物たちの過去編。コイバナなんからしい。最初の「刹那」はエリンとイアルが結ばれる互いの喜ばしさと不安、妊娠・出産の恐れと、その瞬間まで。
- ホクリ師
- 引退した教導師。知識は覚えこんでいくようなものではなく、それぞれのつながりを知っていくことが重要だとエサルに教えてくれた。ゆえにフィールドワーク、そして観察を重視する。それは保守的な学者たちからは嫌われることではあった。
- マキオリ
- エサルの父親が産物として研究している紅色の花を咲かせる植物。高価な薬草になる。エサルは当初父の研究するマキオリの品種改良を手伝うという名目で学問の道に進んだ。
- ミカリ
- エサルの妹。女性らしい女性だったのでエサルは自分のしたいこと(学問の道)をするため総領娘の立場を譲った。
- 薬草畑
- カザルム学舎の小さな薬草畑に植えられている植物の大半はエサルが薬効を見つけたものだった。彼女の半生と言っても過言ではない。
- ヤントク
- よく覚えていないがイアルの幼馴染って感じ?
- ユアン
- エサルとジョウンの友人。上流階級向け医師の息子。二人もかなわない秀才だが、常にさりげなくやさしい男。エサルが唯一愛した男。そうかぁ、エサルが愛したのはジョウンではなかったんや。
- ラザル
- 王獣飼育の場。働く者たちは高給取りだが、ミスにより王獣が死んだりしたら自分自身の首も飛ぶ(たとえでなく)ので、保身だけを考えて汲々としていた。ここで、もう助からないと考えられた王家者はカザルムに送られた。